リペアで紡ぐ横浜の未来「脱炭素ダイアログ Vol.2」【イベントレポート】
- alicehashiguchi3
- 1月30日
- 読了時間: 6分

2025年1月21日、イベント「脱炭素ダイアログ Vol.2」を開催しました。このイベントは、横浜市とあいおいニッセイ同和損保株式会社(以下、あいおいニッセイ同和損保)の共同事業である"循環経済等に資する魅力的な脱炭素ライフスタイル創出・浸透事業"における、「服からはじまる脱炭素ライフスタイル」の関連イベントです。当日は、市民を中心に脱炭素に関心のある参加者が集まり、対話を行いました。
本記事では、イベント当日の様子をレポートします。
トークショー:リペアで紡ぐ横浜の未来
2024年12月に開催の「脱炭素ダイアログ vol.1」では、映画「リペアカフェ」の鑑賞を通じて、世界的なリペアの潮流を学びながらリペアがもたらす豊かな生活のあり方や横浜のまちづくりについて広く議論しました。
今回の「脱炭素ダイアログ vol.2」は、前回学び、考えたことを実践につなげるためのワークショップです。
はじめに、"循環経済等に資する魅力的な脱炭素ライフスタイル創出・浸透事業"の共同事業者であるあいおいニッセイ同和損保の安藤氏よりご挨拶がありました。安藤氏は、ニュースでも大きく取り上げられているアメリカ・ロサンゼルスでの大規模火災の話題に触れ、「それは決して他人事ではない」とし、保険会社が脱炭素に取り組む動機を紹介しました。そして、「この事業が、生活者の皆さまの日々の行動に変容をもたらすきっかけになれば」と事業にかける意気込みを語りました。

本イベントの前半は、トークショーです。今回は横浜市中区に拠点を置く合同会社CYKLUS(サイクラス)代表・平田健夫氏を迎えました。同社は、モノを大切に使い続けるカルチャーを育むことをコンセプトに、イベントやコミュニティの形成を通じてリペアやリメイクの技術や文化を普及させています。
平田氏は、大量生産大量消費が当たり前となった現代の「消費」の速度に疑問を投げかけます。「CYKLUS(サイクラス)では、地球のリズムでゆっくりと、自然のサイクルで暮らすようなライフスタイルを提唱しています」と社名の由来に言及しました。

そして、長年にわたるアパレル業界での経験で身に着けたリペアの知識を活かした活動として、アウトドアブランドが合同で主催する共同リペアイベント「DO REPAIRS」の事例を紹介しました。
ほかにも、福井県や北海道で学生や地元団体とコラボレーションした事例にも触れ、「このようなリペアの取り組みを、CYKLUSの拠点でもあるこの横浜に広めていきたい」と語りました。

また、トークショー後に行われた質疑応答では、参加者から「リペアをやってみたいと思う人はたくさんいると思う。その技術を身につけるには、なにから始めたらよいのか」「修理の技術だけでなく、経済的な面からも現実的なリペアの方法はあるか?」といった質問が挙がりました。

平田氏は、「アイテムをそのまま使い続けるというアイデアだけではなく、まずは一部だけ直してみたり、別の用途を検討してみたりしてはどうか」と、リペアの方法を多面的に検討することを提案しました。
ワークショップ「あなたのリペアしたいものは?」
イベントの後半は少人数のグループに分かれて、参加型ワークショップを実施しました。
参加者の持ち寄った「直りそうだけれど、自分では直せない」アイテムをテーマに、どうして修理したいのか、どうやって修理できるのか、対話を通じてヒントを導き出します。

ここでは、実際に参加者が持ち寄ったアイテムと、それに寄せられたアイデアをご紹介します。
▼フード付きのスウェット

昔、子どもとおそろいで購入したというキャラクターのついたスウェット。背中の部分に小さな穴が開いたうえ、洗濯の際に誤って漂白剤を垂らしてしまい目立つところが色落ちしてしまったといいます。洋服としてはまだ十分に着ることができる状態ですが、見た目が気になるということで着ないままタンスに眠っていたそうです。
色落ちした箇所と状態を見た参加者からは、「色落ちした部分が雲のように見えるので、他の部分にもわざと漂白剤を垂らしてみたら柄としてなじむかもしれない」「穴の空いたところに、同じキャラクターのワッペンを付ければオシャレなリメイクができそう」とのアドバイスがありました。アイテムの持ち主は、「さっそくやってみたい!」と自身でのリペアを決意していました。
▼リングライト

リングライトとは、動画の撮影や自撮りに使われる照明器具。円形の照明部分と三脚をつなぐ部品が壊れてしまい、自立しなくなってしまったといいます。「実は手放そうと考えていたのですが、分別の方法がよくわからないし、30cm近くある三脚は粗大ごみのようにも見えるので、結局捨てられずに長らく放置していました」と話す持ち主。
壊れたライトを見たほかの参加者は、「無理に元通りに修理しなくても、三脚とライトを別々に使ってみてはどうか」「本来取り外せないはずのものが取り外せるようになった。用途が広がったと考えることもできるのでは?」とコメント。他人の視点を通すことで、前向きな発想の転換が生まれました。
▼エコバッグ

「特別想い入れのあるバッグというわけではないんです。ただ、とにかく使い心地が良くてこればかり使っていたら、四隅が汚れて擦り切れたうえ、持ち手が切れてしまいました」と言いながら、愛用のエコバッグを取り出す参加者のひとり。
周りからは、「底の汚れて擦り切れた部分に、あて布をしてみてはどうか」「持ち手の部分も、裁縫をすれば直りそう」など具体的なリペアのアイデアが上がりました。持ち主は、「修理の方法があることは分かったので、あとは実際にやるだけです。こうして人前で話すことが、行動を起こすきっかけになりますね。」と語っていました。

開催後記
脱炭素ダイアログ vol.1の参加者から聞こえた「リペアをやってみたいけれど、自分にはその技術がありません。何から始めたらよいでしょうか」という声から生まれた、今回の参加型トークショー。
一人ひとりが持ち寄った様々な「宝物」 を通じて、リペアが単なる修理行為ではないということを体感することができました。
特に印象的だったのは、昇進祝いに仕立てたというスーツのジャケットに関するエピソード。小さな穴が開いてしまったといいますが、仕事に着ていくためには刺繡をするわけにもワッペンをつけるわけにもいかず、けれども手放すこともできず。ずっとタンスで眠っているというのです。本イベントの終了後、ジャケットの持ち主は「これまで、職場で着るためには繕った跡があるのは恥ずかしい。完璧な状態でなければ、と思っていました。しかしこのイベントを通じて、『リペアされた服を着ることがむしろかっこいい!』という気持ちになりました。穴の開いたジャケットを自分なりにリペアして、これからまた着続けたいと思います」と語っていました。
本イベントが人々にもたらしたのは、リペアに必要なアイデアや技術だけではありません。「モノ」との向き合い方を新たにすることで、自分の持ち物や誰かにとっての宝物がこれまでとは大きく違って見えるはず。
本イベントは、一人ひとりが自分なりのリペアの定義を考える、クリエイティブで新鮮な時間となりました。
Circualr Yokohama編集部
■「脱炭素ダイアログ vol.2~リペアで紡ぐ横浜の未来~」 開催概要
日時:2025年1月21日(火)18:30~20:30
場所:星天qlay「qlaytion gallery」(相鉄線・星川駅直結)
イベント詳細:脱炭素ダイアログ vol.2
主催:横浜市、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社(共同事業者)
協力:ハーチ株式会社(IDEAS FOR GOOD・Circular Yokohama)
事務局: 関内イノベーションイニシアティブ株式会社
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